AIMSは、私の個人的な体験から始まりました。
私は、42歳。6歳のひとり娘がいます。元気が取り柄で、風邪も何年もひいたこともありませんでした。
そんな私が、胃がんのステージⅣ、卵巣にも腹膜にも転移していると、余命を告げられたのは、今年の4月のことです。3月まで、スキーに行ったり、海で娘と一緒にイルカと泳いだり、何の自覚症状もなかっただけに、晴天の霹靂とはまさにこのことでした。
私の場合、自分の病気や余命は比較的すぐに受け止めました。でも、何より心配だったのは、幼い娘のこと、特にその心でした。
娘に、私がいつかこの世を去ることをどのように伝えたらいいのか。そして、私の死後、幼くまだ十分に自分の思いを周囲に伝えられない娘の心のケアはどうしたらいいのか。
その思いを、主治医の先生や、親しいカウンセラーなどに相談したり、自分でも、インターネットで調べたりしていく中で、日本は、死に関する悲しみのケアが遅れていると知りました。海外では、一般的にグリーフケアと呼ばれています。少しずつ、海外で研修を受けたチャイルドライフスペシャリストと呼ばれる専門家もでてきましたが、まだ、人数も少なく、一般的に認知されているとはいえません。また、どこかの病院に所属している人がほとんどで、その病院に通っていなければ、そうしたチャイルドライフスペシャリストと関わることも難しい状況です。特に、子どもを活動の中心において、長期間に渡ってケアするサポートは見つかりませんでした。
そうした現状を知り、もっと広く子どもの心のケアが必要なのではないかと思うに至り、AIMSの設立を思いたちました。
まずは、海外や国内の現状をリサーチし、もっとたくさんの人に心のケアの必要性、心のケアとして具体的には何ができるのかなどを知っていただくことから始めたいと思います。そして、将来的には、カウンセラーの育成や、サポートプログラムを提供できるようにしたいと夢をふくらませています。
このメッセージも、あと私に残された時間がどのくらいなのかわからない時に病床から書いています。でも、私がこの世を近い将来去っても、私の経験がAIMSを通して少しでも活かされることは、希望を与えてくれます。
この世を無念にも去らざるを得ないパパやママの希望に少しでもなり、そして、残された最愛の子ども達の心の手助けができれば、幸いです。
2011年8月
43歳の誕生月に
AIMS代表
小林真理子 - 故人 – 2011年9月9日死去